海のミュージアム「豊かな海の自然とその恵み〜ひもの作り体験とプランクトン観察〜」(11/1)

11月1日(土)は、「真鶴町 三ツ石海岸 海に親しむイベント 海のミュージアム『豊かな海の自然とその恵み~ひもの作り体験とプランクトン観察~』」を開催しました。

2つの漁港があり、新鮮なお魚を味わうことが出来る真鶴町ですが、干物も海の恵みを活かした真鶴町の特産の一つです。今回は、ひもの作りとプランクトン観察をセット行い、真鶴町の海の自然の恵みをお伝えしました。

午前中は、真鶴魚市場でひもの作りを体験して頂きました。真鶴町漁協の朝倉さんにご指導頂き、当日の朝に真鶴漁港で水揚げされた新鮮なカマスを捌きました。カマスは背中から包丁を入れて開く「背開き」という方法で捌きますが、開き方は魚の種類によって異なるそうです。朝倉さんのお話では、魚の捌き方の難易度は、カマスはレベル1、よく見かけるアジの干物でもレベル2とのことで、カマスは初心者向きなのだそうです。ちなみに捌くのが難しい魚はエボダイなどとのことでした。みなさんも慣れない作業だったと思いますが、朝倉さんに教わったり、ご家族で協力したりしながら、上手に捌いていました。




その後、血合いや内臓をきれいに水洗いし、塩水につけてから乾燥させました。このように塩水につけて乾燥させることによって、保存期間を延ばすだけでなく、旨味を増幅させ、食感や風味をより引き出すことができます。

捌いたカマスの胃袋を見てみると、3~5cm程度の小型のイワシ類やニシン類が入っていました。その形はほとんど原型のままをしていて、カマスがこのような小魚を丸呑みして餌をとっているということがわかりました。

ひものが乾くのを楽しみに待つ間に、みなさんでプランクトンをつかまえました。当日はあいにく雨が降っていたので傘をさしながら行いましたが、プランクトンを入れたペットボトルを見てみると、何となくもやっとしていたり、小さな小さな粒がぴょうんぴょん動いている様子が見えました。


お昼休憩をとったあとは、コミュニティ真鶴へ移動してプランクトンを観察しました。顕微鏡で観察する前に、つかまえたプラクトンを映写機を使って映し出して観察しました。11月になり徐々に水温も下がり始めるようになります。この頃、海のプランクトンは種類も数も減少する傾向がありますが、スクリーンには、ピョンピョンと動く動物プランクトンや、細長い植物プランクトンがたくさん流れている様子が映りました。

その後、みなさん各自で顕微鏡を使って観察して頂きました。夏に見られたクラゲやフジツボの幼生、ヤコウチュウなどは観察できず、海の中でも季節が移り変わっていることがわかりました。今回は、動物プランクトンのカイアシ類や植物プランクトンの珪藻のなかまが大変多く、特に珪藻はなかなか見られないような大型のものも観察できました。

実はこの植物プランクトンが太陽の光と水、陸からの栄養を利用して光合成を行い、海の生態系の生産者として重要な役割を果たしています。植物プランクトンは動物プランクトンに食べられ、その動物プランクトンはカマスの胃袋に入っていたイワシなどの小魚に食べられます。このように海の生物どうしはつながっていて、実際にはもっと複雑ですが、それぞれがバランスを保って生態系が成り立っています。私たちが美味しく食べるカマスも植物プランクトンを起点とした海の生態系が成り立っているからこそ受け取ることのできる大切な恵みです。完成後、お持ち帰りただいたカマスの干物は、そんなことを感じ、ご家族の食卓の話題にして頂きながら召し上がって頂けたのではないかなと思います。自分でつくったということはもちろん、海の自然の恵みとして考えるとよりいっそう美味しく感じられそうです。

※今回のイベントは、文科省 公民館を中心とした地域活性化支援事業プログラム「海の自然を活かした地域振興~海を学び、海を活かした場づくり」事業の一環として、真鶴町立遠藤貝類博物館と特定非営利活動法人ディスカバーブルーが企画・実施しました。

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