「海のミュージアム 『磯の生物観察会』/『海の自然実感教室』」(2015年3月8日)

秋から冬にかけては干潮時刻が夜になるため、お休みしていた「磯の生物観察会」ですが、3月8日(日)に、今シーズン初の「真鶴町 三ツ石海岸 海に親しむイベント 海のミュージアム『『磯の生物観察会』/『海の自然実感教室』」を開催しました。

少しずつ暖かくなり、春が近づく三ツ石海岸では、生物たちの活動も活発になり始め、生物観察にとてもよい季節を迎えています。磯の生物観察などの海の活動は、どうしても夏のイメージがありますが、潮だまりの水も暖かくなってしまうような真夏よりは、涼しく、海藻などの餌も豊富な春は生物も過ごしやすいようで、寒い冬にじっと耐え、春を迎えて生き生きと活動する生物の様子を観察することができます。
今年最初の磯観察ということで、参加者のみなさんと一緒にどんな生物に出会えるか、スタッフも楽しみでした。

春の磯の景色は、転石の表面が緑色をしています。海藻のなかまが生えています。
アマクサアメフラシ(上と中央)、とヒライソガニ(右)

この時期は夏場よりも岩の表面が緑色をしていて、海藻のなかまが多く生えているので、足元はつるつるとよく滑ります。そのため、歩いて移動するのにも注意が必要なのですが、実はこれを餌にする貝のなかまを多く観察することができます。特に今回は、アメフラシのなかまがあちらこちらで、本当にたくさんみつかりました。岩の下に隠れているものはもちろん、潮だまりを覗き込めば必ず見つかるといっていいほどでしたので、参加者のみなさんもびっくりしたり、喜んだりと歓声をあげて楽しんでいただけたようでした。
海藻の中でお食事中のアマクサアメフラシ。

どんな生物が見つかったか、みんなで観察しています。
クモヒトデのなかまもいました。

午後は、「海の自然実感教室~大きな海の話と小さな生物の話~」を開催しました。午前中に観察した磯の生物の話から発展して、それら生物の暮らす相模湾の海の中の様子や、真鶴港で採集したプランクトンを顕微鏡で観察していただきました。
顕微鏡で観察しなくてはならないほど小さなプランクトンですが、小魚の餌になったり、カニやヒトデなども卵から孵ったあとはプランクトンとして生活していることなど、大きな海の生態系にとって、大切な役割を果たしています。
真鶴港で採集したプランクトンを投影して動く様子を観察しています。

今回は、植物プランクトンの珪藻類がたくさん観察できました。夏の時期の濁ったイメージのある相模湾ですが、冬場は透明度15m以上にもなり、かなり透明です。それはプランクトンも少なくなるためなのですが、2月の末頃から、徐々にまた濁りはじめていきます。これは「春濁り」と呼ばれ、プランクトンが増えてきたことによる現象で、これが見られると、そろそろ海の中にも春がやってくるということが感じられます。今回はこの春濁りの正体である珪藻類をたくさん観察できました。珪藻類は、規則的なデザインのものが多く、繊細できれいです。これほど一度に、多くの種類を観察できるのはやはり今の時期だけの楽しみです。
海のミュージアム、次回は3/22(日)、3/26(木)、4/5(日)に開催予定です。ぜひ、海の春の生き生きとした自然を体験しに、三ツ石海岸へ遊びに来てください。
植物プランクトン珪藻類のキートケロス

※今回のイベントは、真鶴町立遠藤貝類博物館と特定非営利活動法人ディスカバーブルーの主催で実施しました。

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